多重債務の場合、受任後すぐに弁護士は全ての債権者に対して受任の通知を発送します。その結果、債権者からの取立てが来なくなります。これがまず弁護士に依頼する大きなメリットと言えましょう。
以下、個人と法人に分けて説明致します。
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① 任意整理
支払総額及び毎月の支払額を交渉して減額してもらうというものです。
これは法定利息に基づいて総額を計算し直し、依頼人の収入に基づいて毎月の支払額を設定し直してもらうという交渉です。法定利息に基づく借入であっても、毎月の支払いを減額してもらい、更には、将来利息は全てカットということで交渉をします。
② 個人再生
個人再生は、持ち家があり、住宅ローン以外の借金さえ減額してもらえたら住宅ローンは何とか支払えるという方にとってメリットがあります。自己破産だと持ち家まで手離すことになりますが、個人再生では持ち家を維持できるのです。
また、借金のほとんどの借金が浪費やギャンブルによるもので自己破産が法律上できない(正確には、裁判所から免責決定がもらえない)という方にも意味があります。借金全部がなくなるわけではありませんが、上記の任意整理のレベルを超えて遥かに楽になります。ただし、安定的な収入が要件です。
③ 自己破産
持ち家がない無いもしくは持ち家はあるが手離しても構わないという方、安定した収入が望めないという方々向けの手続です。全ての借金がなくなります。しかも、生活に必要な財産しかないという方にはほとんどデメリットはありません。巷でよく言われているように戸籍に載ることもないし、選挙権もなくなりません。ご安心ください。
法人についてはできる限り自己破産は回避すべきと考えます。
法人においては、社長のみならず雇用している従業員の生活もありますし、一般的に債権者が多数で債権総額も多額となる場合が多いからです(したがって、連鎖倒産ということもあり得ます)。法人破産は個人破産に比し社会に対する影響が大きいのです。
民事再生は、債権者(厳密には債権額)の過半数をもって負債の一定割合を一律カットしてもらい(資産等により個別的に決まることですが、場合によっては90パーセントカットということもあり得ます)、そのカット後の負債を原則10年で分割にて支払うというものです。こうなるとかなり資金繰りは楽になりますし、経営も同じ取締役が継続して行うことができます。
このような制度が存するのですから、安易に自己破産を選択すべきではなく、まずは民事再生の方向で考えるべきです。そして、どうしても民事再生が困難と判断される場合のみ(要件はあります)自己破産を選択すれば良いのです。いわば最後の手段と言えましょう。